環境1.環境問題と生物多様性国際シンポジウム

特別研究プレシンポジウム

歴史生態学から見た人と生き物の関係
日程
2017年3月26日(日)
時間
18:30~20:40(開場17:30)
定員
600名
会場
日経ホール
 
参加費
無料※手話通訳あり
主催
国立民族学博物館、日本経済新聞社
シンポジウムの記録
概要
『現代文明と環境とのかかわり』を考える際に、稀少生物の保護や生物多様性の維持は、 地球環境問題のなかの中心的課題のひとつであるといわれる。本プロジェクトの目的は、 先史から現在までの人間・環境関係の歴史生態学的アプローチを軸にして、稀少動物・稀少植物の利用や絶滅、 保護の変遷およびそこでの問題を把握することを通して現代文明と環境との関係を考えることである。 また、本研究は、寒冷地(極北)、島嶼・海洋(オセアニア)、砂漠(アフリカ)、森林(アマゾニア、熱帯アジア、日本)、 内水面(中国)などの世界各地の環境特性へのヒューマンインパクトの歴史を把握することから、地球、大陸、 地域レベルでの動物・植物と人間社会との相互関係について考える試みでもある。
成果(効果)
1.本シンポジウムでは、生き物と人とのかかわりについて歴史生態学の視点から把握すること目的とした。 従来の研究では、英語圏の環境人類学のなかで歴史生態学的研究が蓄積されてきている。現時点では、 十分な理論的研究に展開しているわけではないが、ウイリアム・バレー教授の文化的景観の森であるとか、 彼の研究枠組みがよく引用されてきている。しかしながら、彼の展望論文のなかでは日本の学問伝統のある環境と文化の研究については ほとんど言及されることはない。今回、日本人研究者による数多くの研究事例が紹介された。

2.同様に、日本国内で使用される生態史、環境史、エコ・ヒストリーなどの用語と英語圏で使用される 歴史生態学との本質的な違いについても、これまで議論されることはほとんどなかった。今回の本シンポジウムでは、 アンデス高地文明の事例などを中心として、この種の研究において考古学および歴史学的研究の重要性が指摘された。

3.個別の事例報告では、ジャガイモ、タロイモ、バナナなどの植物、クジラ、ラッコ、鵜、ゾウ、ダチョウ、 キツネなどの動物が選ばれた。また、野生種の栽培化や家畜化の過程や動機、在来のジャガイモなどのように現代の文明のなかでの 稀少種の保護などについて活発な議論が行われた。今回の報告に多くあったように、各地域の文化が維持されるためには、 文明の力はますます強くなっていて、この3つのバランスを維持することがいかに難しいのかという点にまとめられる。 今後、現代の地球のなかでの自然、文化、文明の共存の形が必要である。