文化3.文化衝突と多元的価値国内シンポジウム

みんぱく公開講演会

ファンタジーの挑戦 ――もうひとつの世界を想像しよう
日程
2020年11月6日(金)
時間
18:30~20:40(開場17:30)
定員
100名
会場
日本経済新聞社大阪本社
   カンファレンスルーム
 
参加費
無料
主催
国立民族学博物館、日本経済新聞社
後援
岩波書店
シンポジウムの記録

世の中が乱れると、ファンタジーブームが起きると言われています。フランス革命勃発後、人びとはファンタジーに夢中になりましたし、関東大震災のあともファンタジーが読まれました。ボッカチオの『デカメロン』はペスト禍のときに書かれましたし、『千一夜』最古の写本が成立したとされる14世紀前後は、中東地域でペストが猛威をふるった時期でした。
「みんな今を生きているって、想像しよう」とジョン・レノンは言いました。いま一人ひとりが、これからどう生きよう、世の中はどうなるのだろうと不安にかられているかもしれません。ファンタジーは、その問いかけに即答するようなものではありません。その役割とは、もうひとつの世界を想像してみること、その可能性の中で日々を生きていくかけがえのなさを見つめることなのです。ファンタジーに思いを寄せることは、広い意味での想像力、創造力という人間に備わった能力の一部です。
人間は、10万年ほど前に言葉を獲得したとされています。おそらくは時を同じくして、さまざまな生存戦略の一部として「虚構の世界を創る」能力も獲得したのです。この能力は他者をあざむくためだけでなく、他者とつながるためでもあったでしょう。自分ではどうにもならない事象を前にしてそれを理解し超えていく、たとえ超えられなくても見知らぬものをそばに置き直して楽しむために想像の世界を広げていったのではないでしょうか。
ファンタジーという文学ジャンルが広く認められるようになったのは、比較的新しい時代のことです。しかしファンタジーそのものは、人類が言葉を獲得してからずっと人間の営みの一部でした。言葉で世界を発見していく文学行為としてのファンタジーについて、その創造の現場で考えてみたいと思います。

「アラジンはなぜ世界を魅了するのか? ――ファンタジーの文明誌」

「妄想が世界を創る!」

西尾 哲夫
(にしお てつお)
国立民族学博物館・教授。1958年、香川県生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程修了.文学博士(京都大学).現在,人間文化研究機構・国立民族学博物館教授.総合研究大学院大学教授.主な著書に『アラビアンナイト――文明のはざまに生まれた物語』(岩波新書、2007年)『世界史の中のアラビアンナイト』(NHK出版、2011年)『ヴェニスの商人の異人論――人肉一ポンドと他者認識の民族学』(みすず書房、2013年)ほか。アラブ遊牧民の言語や文化に関する言語人類学的研究やアラビアンナイトをめぐる比較文明学的研究をしている。近著の『ガラン版千一夜物語』(岩波書店、2019~2020年、全六巻)は各紙の書評等で話題となっている。
森見 登美彦
(もりみ とみひこ)
作家。1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビュー。2007年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を、2010年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。『四畳半神話大系』『有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』はTVアニメ化もされた。ほかの著書に『四畳半王国見聞録』『聖なる怠け者の冒険』『夜行』等がある。最近の『熱帯』はアラビアンナイトにインスピレーションを得た実験的小説で、国立民族学博物館の教員を主人公のモデルにしている。なお本作品は直木賞候補作になるとともに、高校生直木賞を受賞した。
プログラム

総合司会 : 相島葉月(国立民族学博物館・准教授)

17:30
受付
18:30
開会 : 渡邊 園子(日本経済新聞社・大阪本社編集局長)
18:35
挨拶 : 吉田 憲司(国立民族学博物館長)
18:40
基調講演 : 「アラジンはなぜ世界を魅了するのか?――ファンタジーの文明誌」
西尾 哲夫(国立民族学博物館・教授)
19:10
休憩
19:30
対談:「妄想が世界を創る!」
森見登美彦(作家)×西尾哲夫(聞き手)
20:30
終了